両親の愛を注ぐ「子ども輝け命」

可愛い年少さんを迎えて、まるでオーケストラの音合わせのようなにぎやかさです。
やっとオムツがとれた年齢、お母さんから離れることは大きな試練ですね。
自立心が芽生える時の産声でしょう。
しばらくすると自分の位置が判るようになり、元気にあそべるようになります。
デパートのおもちゃ売り場でひっくり返って、大声で泣いている幼児の姿をみかけます。
自分の思いが伝わらない…
「どうして?どうして?」
泣き足をばたばたして…
自分の気持ちと戦って、もだえているのでしょうね。
「かってにしなさい!」としかりつけますか?
それとも「そうよね。そうよね。」と抱きしめるほうですか?
「かってにしなさい!」と叱るばかりでは、子どもは心を閉じてしまいます。
幼い子どもでも事前に説明しておく習慣をつけるといいですね。
例えば出かける前に「今日はアイスクリームは買わない」と説明しておくことが大切です。
子どもだからこそ事前の説明が大切なのです。

昔から一つ二つ…五つと「つ」で数える年令までは、両親の愛をたっぷり刷り込んで育てることが大切といわれています。
両親の愛をたっぷり刷り込まれた子は、10歳を過ぎる頃になると親から自立して、自分で自分をコントロールする自律心が育つといわれます。
たっぷり愛を注ぐことと過保護は異なります。過保護とは、親の一方的なお節介のことです。
「何歳から躾(しつけ)をしたらよいのか?」という質問が寄せられます。
2歳から3歳になる頃に、少しずつ根気よく繰り返して身の回りの生活の基本を身に着けられるようにいけばよいと思います。
「しつけは子どもからの願いや思いを満たしてあげたお母さんの特権。今度はお母さんの希望を子どもに伝える番です。」と云われます。
躾は可愛がってあげた代償です。
子どもへの愛情を注ぐことが前提です。
象をロープに縛って飼育すると、象はやがてロープを外してもロープの距離範囲しか行動しないという事例があります。
人間の子どもも大人の都合で躾をすると「自分でやりたい、やろう」という自主・主体性が育たなくなります。
まず「やりたい」という気持ち(意欲)を大きく育てることが大切です。
やる気は掛け算です。やる気がゼロなら能力が10あってもゼロです。
「やりたい意欲」をもってチャレンジしていくうちに、自分でやれることと人の手を借りなければできないことが理解できるようになり、友だちと協調する心が育っていきます。
子どもは大人の姿を見て「やって、いいこと」と「やってはいけないこと」「やらなくてはいけないこと」を学習していきます。
大人目線で子どもを動物の飼育のように訓練することを「やらせ」と称します。
確かに則効果的ですが、自分で自分を律する力とか、工夫し創造し、友だちから学ぶ「気づき」「意欲」が育たなくなる心配がありますね。
幼児は二足歩行ができる1歳の誕生の頃から言葉を発するようになります。
言葉の発語と歩き回る自立・意欲とは比例します。
自分で歩けるという特権を得た赤ちゃんは、関心のあるものを求めて歩き回ります。
学習のスタートですね。
「危ない!」「だめ!」とイエローカードを振りかざし、ホイッスル吹くお母さんとの鬼ごっこをしながら、子どもは育っていくのでしょうね。
母と子の鬼ごっこは3歳のお誕生の頃まで続きます。
この「母と子の戯れあそび」(ジャグリング)が、幼稚園では仲間とかかわってあそぶコミニケーション力として育っていきます。
人間の生きる力は、仲間とのコミュニケーションをはかる能力だと思います。
3歳までは家庭で学び。
3歳過ぎると友だちとの関わりの中で学びます。
友だちからものを学べない、友だちにものを教えることができない子どもは、社会的に成熟していきません。
エリクソンは「社会に必要な道具・知識・生活体験を仲間と共有して生きていく経験を積み重ねることで人間は成熟していく」と云います。
両親の愛をたっぷり受けて育った子どもは、時が来れば自主的に友だちという群れの中に入り、その中で生活していくようになります。
幼稚園は遊びを通して子ども同士が学びあう学習の場です。
子どもたちは幼稚園という集団の場で、穴の掘り方・友だちとのかかわり方・縄跳びのとび方・木の登り方・聞き方・おり紙の折り方…を学習していきます。
年少の時は枠の中で保育すると、一見効率的に見えますが、子どもの自主体制が育たず「象のロープ」になりかねません。
そのためにも健伸の教育は、3歳児の時はできるだけ拘束しないでそれぞれの自我な発揮の場を保障される環境を大切にしています。
年中になると「自分の姿が友だちの心にどのように映るか」が見えてきます。
この頃から仲間と共有して生活していくためのルールや基本的な生活習慣を具体的に子どもに「気づかせ」ていく環境の基にカリキュラムを編成ています。
年長は友だちと力をあわせる協働生活の中で、子ども同士学びあい、育ち合います。
「子どもが子どもから学ぶ」「年長者が年少児に教え伝える」この学びの循環がとても大切です。
教える子は教えることで育ちます。
なわとび・木登り・コマ回し・折り紙・稲刈り・脱穀…
友だちとかかわってたくましく生きる「生きる力」の教育は、この年長の頃の経験学習で培われていきます。
幼児は全身が感覚器官です。
全身の細胞の触手を張り巡らせて、環境に反応して育っていきます。
子どもの育ちは環境に大きく影響を受けます。

年長さんと創立記念樹「みずき」のスケッチをしました。
東北に伝承される伝統こけしの素材となる「みずき」は、この季節一日にドラム缶何本かの水を吸い上げるといわれます。
昭和47年に武藤初男さんと私と二人で植えた幼木がこんなに大きく成長しました。
子どもと一緒にスケッチした2日間、みずみずしい空気を吸ったような幸せ感を味わうことが出来ました。


子どもと生活する幸せ

一斉に園庭の木々がくるくると渦巻くようにみどりの芽を吹き出しました。
日曜日、古寺の境内を散策する機会がありました。
ふじ、シャクヤク、山吹、ツツジが色とりどりに咲き、蝶や蜂が幸せそうに花に群れていました。
境内に一角に「草花、虫が幸せになる幸せの七施」と書かれたプレートが目につきました。
子育ての教えににも通じるので紹介します。

眼施(げんせ) 常に優しいまなざしで接しましょう。
和顔施(わげんせ) にこにこと包みゆるす心で接しましょう
言辞施(げんじせ) やさしい温かい言葉がけをしましょう。
心施(しんせ) 温かな心で接すると花どうしが育ちあいます。
身施(しんせ) 骨身を惜しまず世話をしましょう。
状座施(じょうざせ) 弱い草花虫に席を譲り優先しましょう。
房舎施(ぼうじゃせ) 虫さんどうぞ、わが庭でおくつろぎください。

幼稚園も可愛い年少組さんを迎えて花盛りです。
朝、門をくぐるなり砂場に走り出す。
駆けつけた年長さんが「おへやでバックをおろしてからあそぼうね」と手を引いて誘導してくれます。
年少組さんにとっては、すべてが物珍しい世界、泣きながら周りを観察しているのでしょうね。
それぞれが自分の居場所を見つけるまで珍しさと戸惑いの毎日ですが、それもしばらくの我慢です。
年中組さんは新しい環境にも慣れて、保育室での自分の居場所が見えてきます。
年少組さんが泣いたりしている姿を横目にしながら昨年の自分をトレスしながら、自分の成長ぶりを確認しているのでしょうね。
年少から年中へ成長する過程は、その発達・成長の過程が形では見えにくい時期です。
しかし、心の育ちは大きく豊に成長する時期です。
心にイメージする世界が豊になればなるほど、言葉や身体で表現する力が充分に伴わないために、ひっかいたり噛みついたりする時期です。
言葉が乱暴になったり落ち着かない所作も目立ってきますが、これも成長です。
言葉の獲得が増え、様々な経験を積み、身体機能が成長にするに伴い、周りを見る目・視野がずーっと広がって落ち着いてきます。
5歳のお誕生を迎える頃から「相手の心の中に映る自分」を見る目が育っていきます。
前後・左右・上下・空間や数量の感覚も育って「経験」という栄養素を蓄積して「生きる力」人生のアンテナとなる「自分軸」(アイデンティー・特質・個性)を育てていくカリキュラムが用意されるのもこの時期です。

年長組さん、進級式はどうでしたか?
年長になると自分で判断して行動しなければならないことがたくさん出てきます。

 

1.何ができるか 
2.何をしたいか
3.そのためには何をしなければならないのか。

 

先生やおうちの人にたよるだけでなく「あとでやる」という返事では無くできることから、自分のことは自分ですぐやる習慣をつけましょう。
新しい幼稚園の教育要領の「柱」は「学ぶ力」です。
友だちを意識し、仲間から学び、仲間と関わることで学ぶ、喜びと悩みを体験することが大切です。
国会でも取り上げられたヘッグマン教授は「幼児期における質の高い教育の重要性」を次のように述べています。

就学前に質の高い専門的な教育刺激をうけておかないと、その時期でしか発達しない能力は発達しない。
就学前における能力の発達があれば、就学後における教育の効果は大きくなる。しかし、それが無ければ就学後の教育効果は小さくなってしまう。
3歳から6歳の幼児期に、専門家が編成した「質の高い教育カリキュラム」提供されることで、幼児はこれからの人生をたくましく自信を持って生きていくための「羅針盤」を錬磨していく。

「IT社会」だからこそ、それぞれの子どもが自分の特性を活かして生きていくための人間本能のアンテナが必要です。
そのアンテナを育てるのが、素朴な人間的な「幼児期のあそびの経験を保障する環境」なのです。
6歳までの学習は「まねび」です。
子どもの成長は周囲から優れた情報を集め、模倣する「学び」(learning)が大切です。
教え育てるよりも、自分で学んで自分を育てる方法を気づかせてあげるほうが力となるはずです。
子どもは成功と失敗を繰り返して成長していきます。
子どもの意見や質問に、私たちは耳を傾け、適切な助言を与えられるように努めたいですね。
押し付けて教えると「どうするの?」「これしていいですか?」等の指示待ちが多くなります。
また、この幼児期に友だちとじゃれあって学びあう経験が少ないと、応用力・創造性が問われる4年生の頃から中学生の時期に環境へ適応できず、反発して、閉じこもったりする心配もでてきます。

こんな子どもを育てたい

子どもたちが小学4年生になって「幼稚園で学んだことが、役にたったなぁ」と実感できる幼児教育を目指しています。
幼児期は空想したり、工夫したり、それぞれのイメージをふくらませて夢中になってあそぶ年齢です。
さらに大切なことは、他人の心に自分を投影して、友だちの心に自分がどのように映っているかを考える。
自分は何をすれば良いかを考える心が育つ年齢です。
4歳になると雨の色・風の音・空気のニオイを感じたままを表現する心が育ちます。
3歳の頃からの自分の手でさわってみる・嗅いでみる・動かしてみる等のあそびの体験を重ねることで、感性と表現力が育っていくのですね。
4歳は「やりたいこと、思っていることをしっかり言いなさい。先生が上手にうけとめてあげるよ。」
5歳になったら「自分でできることは、自分で考え自分の意思で行動しなさい。先生もしっかり見てるから。」

年長組に進級したら「やりたいこと、自分でできること、そしてやらなくてはいけないことをしっかり考えて、友だちとあそぼう。」と伝えます。
子どもと共にある幸せを大切にしたいですね。


子どもと共にある幸せ

花冷えで桜の開花が心配されていました。
始業式・入園式、園庭の桜が花びらをいっぱい広げてお祝いしてくれています。

桜が花がさいている。
どんなに 花自らが嬉しいであろう。
花が満開している。
どんなに 花自らたのしいであろう。
その、花自らの喜びを喜び、喜びとし、その幸福を祝う心、それが4月の真心である。
ただ、こっちの興味で、美しと眺め、美しと賞するのみではない。
見よ、子どもらの生活が咲いている。
満開している。
かれら自らに、どんなに 快いことであろう。
どんなに 喜ばしいことであろう。
その、子どもらの幸福を
子ども自らの心に和して祝う心。
それが われらのまごころである。
倉橋惣三(4月)

日本の幼児教育の父として慕われる倉橋さんの子どもへの真の心を歌った詩です。
満開に咲いた桜を見ていると、サクラの一輪一輪が「見てみて」とささやきながら、自らが自分の力で蕾を開いて、満足して咲き誇っているような気がします。
咲き誇るその様は、七五三のお祝いの着物姿を誇らしげに見せてくれる子どもの姿に似て、美しい。
時代が変わっても社会通念が変わっても、花びらが風に舞う桜並木を桜の喜びに和して観賞するのが真の花見心として変わらぬ日本の文化は変わらない。
園庭の木々も、芝生も土も園舎も鶏小屋も・・・みんなピカピカになって、子どもたちの進級・入学を迎える準備が整いました。
4月はドキドキ心をはずませて一人ひとりの子どもを迎えるフレッシュな気分に包まれる月です。
園内研修を始めそれぞれのテーマーでの研修の成果も問われるのも4月。
私たちは自ら蕾を開き美しく咲いた喜びを誇らしげに伝える桜と同じように、子どもの心に沿って、子どもを見守り育てたいと願っています。

4月の幼稚園は、柔らかな日差しを浴びて、子どもたちは、真綿のような花を咲かせます。
社会全体がうっとうしい厚い雲に閉ざされ先行く途が見通せないように感じる今の時代ですが、色とりどりの真新しい帽子をかぶった子どもたちが、桜のように舞う幼稚園は、子どもの躍動する姿が桜のように満開で温かです。
あらためて、子どもと共にある生活に感謝し、子どもと共にある生活を楽しんでいます。
以前にも紹介しましたが、毎日新聞の「みんなの広場」に掲載された69歳の男性から心温まる文章を再度ご紹介します。

34歳になる私の娘は、現在、幼稚園の教諭で勤続10年を超えた。
職場は、毎日が楽しくて大満足だという。
幼児は、日本の未来を担う大切な宝物だ。
決して怒らずに、その宝物の子を育てるのが娘のモットーだという。
優しく指導していると、日々成長していく子どもの姿に驚くほどの感動を覚えるという。
このように毎日職場で楽しく働いているのは、まさに天職ではなかろうか。
未来の宝を育てながら、楽しく働けるとは、何ともうらやましい職場だろう。
幼い子どもたちが成長し、どんなすてきな大人になるのか、今から楽しみだと娘が言う。
おもしろいことに、六十路を歩く私の妻も未だに現場で、幼稚園教諭として第一線で働いている。
さらに妻と娘は同じ幼稚園だ。
親子で未来の宝を育成している。
なんとも幸せで信じがたい。

「保育園入れない。日本 死ね。」の怒りのメッセージが社会問題になりましたね。
そうした世相の中でこの文章に接して、子育てにおけるともすると忘れがちな「大切な何か」を感じさせられました。
幼い子どもは、未来の星です。
未来を支えてくれる「子どもがいるから」私たちは橋を造り、街を造るのです。
子どもへの「育ての心」が忘れられると、それこそ日本の未来が死んでしまうのではないかと心配しています。
桜満開の園庭での新学期のスタートです。
教職員一同、子どもを真ん中に子どもが輝く教育環境作りを目指してがんばります。
本年もよろしくお願いします。



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